三重県は4日の県議会全員協議会で、来年度当初予算の編成に向けた「調製方針」を示した。子育てや観光振興などの予算は、各部局の要求額に上限を定めていない。新規事業の立案を促す狙い。
県によると、特定の施策に要求額の上限を定めない予算編成は、前年度に続いて2年連続。対象の施策も前年度と同じく「子どもの育ちや子育ての支援、観光振興、県民の命を守る取り組み」とした。
これらの重点施策に当たらない事業も前年度と同じく「メリハリのある予算の実現」を目的に、前年度比(シーリング)を90%としつつ、必要があれば最大で1・3倍までの要求を認める。
既存の事業については妥当性や必要性、有効性などの観点から「ゼロベースでの検証」を要請。「中でも緊要性が乏しい事業は厳しく見直す」とし、他県と比べて高額な経費も「厳しい精査」を求めた。
借金に当たる県債の発行も、前年度と同様の対応。起債額を前年度当初予算以下とするよう、各部局に求める。県民から寄せられた提案や意見を元に事業を企画する「県民提案枠」も昨年度に続いて実施する。
一方、歳入の見込みは7928億円で、前年度当初予算を443億円下回る。前年度当初予算で計上した新型コロナ関連の臨時交付金が大幅に減少する見込みとなったことが主な理由という。
更屋英洋総務部長は全協で、各部局の要求額について「社会保障関係経費や施設の建て替えなどが見込まれ、歳入の見込みを上回ると考えられる」とし、事業の精査や歳入の確保に努める考えを示した。
また、県は来年度の行政展開方針案を公表。注力する施策の筆頭に「子どもたちの輝く未来の実現」を掲げ、津市で母親の暴行を受けた女児=当時(4つ)=が死亡した事件などを踏まえた対策の強化を強調した。