動画投稿サイト「ユーチューブ」が利用規約に違反しているとして、廣耕太郎三重県議(新政みえ、3期、伊勢市・鳥羽市選出)の一般質問の動画を削除したことが3日、県議会事務局への取材で分かった。新型コロナウイルスをめぐって廣議員が主張した内容を理由に削除したとみられる。県議会が配信した動画が削除されるのは初めて。廣議員はユーチューブの対応を「おかしい」と批判している。
議会事務局によると、削除されたのは廣議員による2日の一般質問。県議会はホームページ(HP)から閲覧できる形でユーチューブを通じて中継し、質問後もユーチューブの動画をHPに掲載した。
議会事務局の職員が3日朝、HPを見て動画が削除されているのに気付いた。画面には「利用規約への違反により削除されました」と表示され、動画を管理するページには削除を知らせる「警告」も届いた。
議会事務局は動画を再び公開するよう、ユーチューブのガイドラインに基づく「審査」を要請したが、認められなかった。ユーチューブを介さずHPに動画を掲載する形で同日午後4時ごろに復旧した。
動画が削除された詳細な理由は不明。議会事務局にはユーチューブから「誤った医療情報に関するポリシーに違反している」との返信があったが、利用規約に違反した具体的な部分は示されなかったという。
廣議員は2日の一般質問で、新型コロナウイルスに対する持論を展開。「ワイドショーなどでは新型コロナウイルスの怖さばかりが強調されている」「やたら怖がらせる報道に偏っている」などと訴えた。
ワクチンについても、大学教授のものとされる見解を引用しながら「欧米では接種する方が余計に感染するのが常識」「接種から2カ月以降の免疫力は打つ前より下がるという話を聞いた」などと述べた。
廣議員によると、自らの事務所にも動画が閲覧できないことへの問い合わせがあったという。廣議員は取材に対し、一般質問の内容を理由に動画を削除したユーチューブの対応について「おかしいと思う」と語った。
県議会は議会活動の周知を目的として、一般質問や常任委員会などをユーチューブを通じてHPで配信している。議会事務局は「同じようなことがたびたび続く場合は今後の対応を検討したい」としている。