伊勢新聞

2023年10月4日(水)

▼教員同士の不適切な関係はこのところとんと聞かなくなった。中勢地区の県立高で不倫関係になった男女教員のうち、男性を東紀州に異動させて関係を断ち切ろうとしたら女性が追いかけてかえって騒動になり、処分をせざるを得なくなったのは四半世紀前

▼近所で葬式があった。のち津西高校長になった旧知の教諭が参列してたのであいさつしたら「喪主の夫も教師で言葉もない。葬式は出したのはよかった」。聞き直したら死んだのは妻で、不倫相手と別の暮らしをしていたらしい

▼男女が混在する職場で間違いが起きない方がむしろ不思議という理屈もあるが、教職員同士は以後、うわさの域にとどまるようになったのは、組織の人的関係が濃密で、責任のとばっちりが広範囲におよぶためといわれる。なくなったわけでないのは、令和2年に県教委が策定したハラスメント運用基準で、セクハラの項目は、処分でおなじみの児童生徒に対する事例より、女性教員への“性的嫌がらせ”の方が多くを占めていたのでも分かる

▼目撃した時の対応や、被害に声をあげることを求めているのは、痴漢がはびこる満員電車のような現場を類推させる。津市の小学校教頭が8人の女性と不倫関係にあったとされ、市民らが教育現場から「更迭」するよう市教委に求めた。相手の半数が教職員という。事実なら市民の気持ちは分かる。そんな現場に子どもを送り出すのは避けたい

▼「学校や子どもに関することではない」と市教委学校教育課。県教委は「服務監督の権限は市教委。対応を待っている」。声をあげなければいけない。