<まる見えリポート>津の小学教頭が8人と不倫 市民ら「更迭」求め署名提出 教委に対処の気配なし

【教頭の「更迭」を求める署名】

三重県津市立の小学校で教頭を務める50代男性を教育現場から「更迭」するよう求める市民ら242人の署名が先月、市と市教委に提出された。教頭は8人の女性と不倫関係にあったとされ、その半数は教職員。署名した市民らは「子どもを守る学校で働く資格はない」と訴えている。これに対し、教頭は元妻との訴訟で不倫を否定。県教委や市教委は「学校に関することではない」などとして、すぐさま配置転換などの対処をする気配はないという。市民らは署名活動を続ける方針で、問題は収束しそうにない。

元妻が起こした民事訴訟の判決などによると、教頭は令和元年までの16年間にわたり、8人の女性と不倫関係にあったとされる。判決は「期間を重複しながら極めて多数回の不貞行為に及んだ」「その態様は極めて悪質」などと教頭を批判した。

教頭は不倫の疑いが浮上した当初、元妻に対して不倫を認めていたとされるが、訴訟では一貫して否定。出廷を求められるも「適応障害」の診断を受けたことなどを理由に拒んだ。判決は被告としての態度を「誠実なものとは到底言い難い」と指摘した。

目を疑うのは、元妻が訴訟で証拠として提出した教頭の教職員手帳。当時の不倫相手とみられる女性らの容姿や性格、仕事ぶりなどを「○」「×」や点数で細かく評価していた。不倫を疑われてごまかせたとみられる人らを記録したリストもある。

教頭は訴訟で、手帳の記載を「手を加えられた可能性が否定できない。自分の妄想を書いた箇所が随分ある」などと主張したが、判決は教頭が手帳を自宅に保管したことを踏まえて「違法に元妻の人格権を侵害する行為」と認定。元妻への賠償金を上乗せした。

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署名活動は学校教育の改善を求める市民団体が実施している。「教頭の行為は社会通念や道徳観から逸脱している」とし、地方公務員法に定める「信用失墜行為」に当たると主張。署名は来週中にも300人を超える見通し。一部の市議や県議らにも伝わっている。

市民団体が問題視しているのは、市教委が教頭を教育現場で勤務させていること。不倫の疑惑が浮上したのは、現在とは別の学校で教頭を務めていた令和元年。翌年度には市教委の事務局に異動していたが、昨年度からは小学校で再び教頭を務めている。

なぜ教育現場に復帰させたのか。市教委の学校教育課は取材に「学校や子どもに関することではない」などとして回答を拒否。署名が届いたことさえ認めなかった。県教委も「服務監督の権限は市教委にある。対応を待っている」と、静観の構えだ。

教頭は本紙の取材に「個人のことなので」と回答を拒んだが、訴訟の判決で認定された事実関係については「いろいろと異なる」と主張。「いろいろなことも含めて困っている」と語った。「いろいろ」の内容を尋ねたが、答えてもらえなかった。