▼「法的な問題は一切ない」と言い続けてきた教育や文化に関する職務権限を教育委員会から環境生活部へ事実上、移管する文化振興条例案について、議会上程後約3カ月を経て、竹内康雄同長が議会常任委で「(法令の)整理が不十分だった。しっかり反省する」と非を認めた
▼地方教育行政法をそもそも知らなかったとみられるが、それでも主張を変えずに文科省にまで伺いを立てたのは、30都道府県が県同様、部制条例に文化関連事務を担えると書き込むだけで、移管しているからだという。行政が法律ではなく、横並びで行動していることを明瞭に示す
▼文科省も地方教育行政の現実を突きつけられて、さぞ困惑したことだろう。県がルールに無頓着なことは、かつて外部監査でも指摘されていた。ルールが執行の妨げになれば、別のルールを作って先のルールを骨抜きにしてしまうというのだ。そんなことを繰り返していれば、ルール間の整理などもおざなりになってしまうに違いない
▼民主主義は手続きと言われる。手抜きをすれば、いつかは民主主義を揺るがす原因になる。行政もまた手続きであろう。民間には厳しく、自分らには甘くしていいわけがない。カラ出張が、当初は交渉の際の必要経費として捻出され、やがて自分たちの飲み食いに使われていったのがいい例だ
▼「法には触れていない」と言葉が国、県の高官、官僚の常とう句になって、正しいことのように使われる。ルールがすべて。法の精神とか法の趣旨は気にもとめなくなる。県もそうなりつつあることをうかがわせた文化条例騒ぎである。