伊勢新聞

2023年9月22日(金)

▼足元を見ていたかのようで恐縮だが、一見勝之知事が就任直後に県の人口減少対策専門部門のないことに驚き、昨年1月の年頭あいさつで「人口減少対策元年」と言って取り組みの強化を誓うなどした時に。施策の中心は前県政を踏襲した男女の出会いの場づくりになるのだろうと予感していた

▼1月の当初予算編成の知事査定で、報告された人口減少対策計画は案の定「結婚につながる出会いを促す『みえの出逢い支援事業』」。県がそう斬新な発想をするはずはなかった。それから約9カ月ようやく「新たに結婚を希望する人らを引き合わせる『結婚応援サポーター』養成」事業がスタートする。主婦や会社経営者、元教員、市職員、県議ら「縁むすびサポーター」52人が、結婚を希望する男女に出会いの機会を与える

▼県の「みえ出逢いサポートセンター」に申し込んだ256人と面談して引き合わせ、同席する。見合いの席へ、少し時計を戻した感もあるが、役所の設定は成果を求めるので敬遠されるといわれる。教訓は引き継いでいよう

▼結婚願望の男女の数はそれほど落ちていないが、諦める人の数は増えているという。環境整備が何より重要だが、縁結びそのものも一筋縄ではいかなくなっている。県職員にも独身者は多いが、あえて結婚しなくてもという考え方が根付いている

▼「よき出会いを求めて」と、アプリや出会いの場に集う人も、「よき」の価値観が多様化している。52人という数は、だから必要なのだろうが、申込者とサポーターの“縁むすび”がまずは成否を握るのかもしれない。