2023年9月18日(月)

▼東京・日本橋の県の首都圏営業拠点「三重テラス」がリニューアルオープンした。一見勝之知事、中森博文県議会議長ら関係者がテープカットした。いささか緊張感がうかがえたのは気のせいか。式年遷宮に伊勢志摩サミットとビッグイベントが追い風となった10年前の船出とは、環境は様変わりしている

▼1階総合案内にコンシェルジュが常駐して三重の観光案内などワンストップ窓口で…などカタカナ語満載の新しい仕組みは半分もピンとはこないが、今風に知恵を振り絞ったということだろう。「県を愛する人やゆかりの人が集まり情報交換する場にし、多くの人が三重に来てもらうことを心からお願いしたい」。知事のあいさつにも思いがにじむ

▼実際、リアルで客を呼ぶ困難さは、老舗百貨店の先のストライキでも分かる。日本橋で老舗百貨店のメインスペースが安売り家電で占めることになって話題になったのが10年ほど前。今回のスト騒ぎでも、身売り後のテナントは安売り家電が中心という。伝統や格式で客は呼べない

▼三重の魅力をより効果的に発信し、首都圏からの誘客や県産品の販路拡大、首都圏との交流促進―が目的。すべての道府県のアンテナショップに共通している。問題は、その中で採算がとれているところはないということだ

▼来館者数が激減し、仕切り直しして打って出たのが今回のリニューアルだ。内容の一新のほかに、もっとも変わったのは、売り上げで支払っていた運営業者への報酬を、委託費に切り替えたこと。売り上げではとてもとても、と業者が尻込みしたのでなければ幸い。