サントリー文化財団(大阪市)は13日、地域文化の発展に貢献した団体などを顕彰する「第45回サントリー地域文化賞」を、着物の染色に使う型紙の手彫り技術の伝承に取り組む、三重県鈴鹿市の「伊勢型紙技術保存会」など5団体に贈ると発表した。
保存会は、同市の伝承者養成事業を引き継ぐ形で平成3年に発足。同5年に国の重要無形文化財保持団体に認定された。職人ら19人で構成。伊勢型紙を作る技術の研究や次世代への伝承などに励んでいる。
江戸時代から続く精緻な手彫りを守り続けていることなどが評価された。後継者を確保するために未経験者を対象に公募し、今年に入って7人の新たな会員が生まれたことも受賞の大きな理由となった。
保存会の内田勲会長(78)は記者会見で「後継者の育成や技術の伝承が認められて本当にうれしい。受賞を機に多くの方に伊勢型紙を知ってもらい、多くの後継者が生まれることを期待している」と述べた。
選考委員の一人で、俳人の夏井いつきさん(66)も同席。「主役の布を下支えする技術が芸術の域に達している。長いスパンで後継者を育成する取り組みは、全国のモデルケースになると思う」と語った。
サントリー地域文化賞は文化活動の振興などを目的として、昭和54年に創設。県内団体が受賞するのは12年ぶり、5件目となる。賞金は300万円。10月31日に大阪市内で贈呈式がある。
若狭小浜ちりとて落語の会(福井県小浜市)▽和歌祭保存会(和歌山市)▽広島文学資料保全の会(広島市)▽キッズミュージカルTOSU(佐賀県鳥栖市)も受賞。今回を含め、受賞は240件となった。