▼三重県津市出身の故後藤隆之氏の「伊勢湾白子港歴史浪漫」が30年ぶりに復刻出版された
▼「江戸開府のあと、白子は徳川御三家の一つ紀州藩に組みこまれ、江戸へ物資を運ぶための伊勢湾最大の港、大阪と並ぶ日本屈指の廻船基地となった」と振り返る
▼江戸向けは「上方から江戸への下り」なので「下(くだ)り荷」と呼ばれ、「木綿こそは、伊勢商人の活躍の目玉商品であった」
▼「逆に帰りには江戸から各地の物産を積んで戻って来るのであるが、これを『上(のぼ)り荷』といった。上り荷は別の呼び方をすれば、『下らないもの』であって、当時は上方物産は上等であるが、その他の物産は劣っていて、下らないものとされたので、現在では由来を知らずに使用されている」と説明している。物産だけでなく「下らないしゃれ」「下らない人間」など使用例が広がっている
▼また、「伊勢商人は木綿に次いで茶と紙を有力商品として扱っており、松阪の小津家は江戸第一の紙問屋で40余の店を持っていて、現在も日本橋本町三丁目に健在」
▼映画監督の小津安二郎も松阪商人の家系。今年、生誕120年を迎える。