上げ馬神事、土壁を低く 多度大社が三重県に改善策提出

多度大社(三重県桑名市多度町)の上げ馬神事(県無形民俗文化財)に「動物虐待」との批判がある問題で、県は29日、馬が飛び越える土壁を低くすることなどを記した改善策を多度大社から受け取った。来年5月の上げ馬神事から適用される見通し。

県によると、改善策は高さ約2メートルの土壁を1メートル程度に改めるほか、馬が駆け上がる坂の傾斜を緩めると明記。砂利などが敷かれている走路に、馬への負担が少ない素材を導入する方針も示した。

このほか、馬の取り扱いに注意するよう、参加者に周知する方法を巡って関係者間で協議すると説明。事故が発生した場合に馬をすぐ運び出せるよう、専用の車を待機させることも盛り込んだ。

改善策は29日、郵送で医療保健部に届いた。県は6月、SNS(交流サイト)などで神事への批判が上がっていることなどを踏まえ、今後の対応を書面で報告するよう多度大社に求めていた。

多度大社は年末までに具体的な対策を決め、改めて県に改善策を提出する見通し。医療保健部は「改善策の内容が十分かどうかを検討する。安全な神事になるよう、助言などに努める」としている。

上げ馬神事は若者が馬に乗って坂を駆け上がり、その成否で豊凶などを占う伝統行事。700年近くの歴史があるとされる。平成20年以降、転倒して骨折するなどした計4頭の馬が殺処分された。