橘南谿の偉業を紹介 江戸時代の医師 津で歴史学習講演会

【橘南谿について話す浅生氏=津市安濃町の安濃中公民館で】

【津】津市内13のボランティアガイド団体で作る津観光ボランティアガイド・ネットワーク協議会はこのほど、同市安濃町の安濃中公民館で歴史学習講演会を開き、郷土史家の浅生悦生氏(78)が「橘南谿(なんけい)をもっと知ろう」と題して講演。江戸時代の医師で津市久居出身の橘南谿(1753―1805)の偉業を紹介した。

南谿は久居藩士の五男に生まれ19歳で京都に出て医師となり、医学修行で全国を歩き見聞録「西遊記」「東遊記」を著した。医師自らが執刀する解剖を日本で初めて行い天文地理分野や文筆家としても活躍した。

浅生氏は南谿の医学を「漢方医でありながら蘭学の影響も受け実証医学を実践した」と説明。それまで被差別民にさせていた人体解剖を画家と共に自ら行い、刻々と変化する臓器の色や形、重さなどを62の図にまとめたとして「日本で初めての解剖の実況中継」と位置づけた。

天明の大飢饉(ききん)後の東北に出向いて惨状を全国に知らしめたことや、望遠鏡を製作して日本初の天体観測会を開いたことなど幅広い活躍を著書や史料を基に紹介し「もっと広く顕彰すべき人物」と力を込めた。

会員団体や一般の希望者計約60人が聴講。久居城下案内人の会の若林征男さん(79)は「本当にすごい人。ガイドで話す時の幅が広がった」、久居の歴史を学ぶ久居郷土会の名越正直さん(58)は「南谿は久居に19までしかいなかったが著書では三重のこともたくさん書いている。もっと掘り下げ久居の人に知ってもらいたい」と話した。