伊勢新聞

2023年8月22日(火)

▼街行く人からマスク姿がめっきり減った。5類移行後もマスク着用者がほとんどだった県庁内でもノーマスクが目立つ。30度を超える猛暑の中で、今怖いのは熱中症だ。マスクで体温があがるのは避けたいのだろう

▼夏の甲子園野球(全国高校野球選手権)も残り1試合だが、長谷川眞理子・日本芸術文化振興会理事長が「今夏の試合では、高温による熱中症患者が続出している」と書いていた。新聞は熱戦を連日大きく報じているが、患者続出は見た覚えがない

▼戦いやエピソートの報道に隠れて気づかなかったか。せっかくの盛り上がりに水を差してはいかんと控えたか。ネットで見ても、6日の第2試合までに6選手が熱中症疑いで処置を受けたという発表をスポーツ紙が掲載していただけ。それ以外は見当たらなかったが、長谷川理事長の言葉は容易に想像できた

▼熱中症は過去の試合でも相当数確認されている。今大会前は2部制にするなど、対策が話し合われたが、結局は見送られた。5類移行の久々の制約なき大会というキャッチフレーズに流された気がする。東京五輪の暑さ対策の効果に散々疑問を投げかけた新聞社の後援とはとても思えないが、開催を夏から移す時期に来ているのではないかという長谷川理事長の提案には、それはそれで、難しい事情というのがあるのかもしれない

▼「熱中症警戒のテレビニュースに続く甲子園野球中継には矛盾を感じる」と友人が言ったのは沖縄尚学戦を前にした高校野球の話で盛り上がった10日ごろ。「台風時に川の様子を見に行く人とあまりかわりないような」。