<まる見えリポート>次期衆院選小選挙区展望・4選挙区に12人出馬準備 2区激戦の様相

【次期衆院選三重小選挙区の立候補予定者】

次期衆院選に向け、三重県内の選挙区でも候補者の顔ぶれが出そろいつつある。今のところ立候補予定者が固まったのは4つの選挙区で計12人。自民党の現職4人は続投の方針で、前回選挙に続く全員当選を狙う。対する立憲民主党は引退するベテラン2人の選挙区を含む3つの選挙区で新人を発表し、全選挙区で候補者を整えた。日本維新の会と共産党はそれぞれ新人2人を発表し、追加での擁立も検討している。国民民主党も独自候補の擁立に意欲を見せており、候補者は増える可能性がある。各選挙区の情勢を展望する。

■1区
田村 憲久58自現
福森和歌子53立新

元厚労相で自民県連会長の田村氏が10選を目指して続投の方針。立民は元職の松田直久氏が次期衆院選への不出馬を表明したことから、公募に応じていた電通の元社員で伊賀市出身の福森氏を擁立した。共産の擁立も確実な情勢。国民民主も擁立を模索している。

前回選挙で松田氏が敗れた立民にとっては厳しい選挙区で、田村氏が引き続き優勢。前回は候補者を出していなかった共産や国民が新人を擁立すれば、立民の厳しさは増す。一方、福森氏は立民県連として初の衆院女性候補。知名度の向上がカギとなる。

■2区
川崎 秀人41自現
下野 幸助46立新
森口あゆみ58維新
山本 里香65共新

与野党の4人が立候補する見通しの激戦区。前回選挙で立民現職の中川正春氏を制した川崎氏が2選を目指す。対する立民は今期限りで引退する中川氏の後任に鈴鹿市選挙区の県議、下野氏を選んだ。維新、共産も新人を擁立し、混戦の様相となっている。

現状では川崎氏が有利な情勢だが、自民の県連幹部は「まだ鈴鹿方面での支持が浸透し切れているとは言えない」と指摘。ただ、下野氏も野党乱立による「票割れ」が懸念され、現状では比例復活も危うい。連合三重などから強い支援を得られるかが今後の情勢を占う。

■3区
石原 正敬51自現
伊藤 昌志53維新
岡田 克也70立現

立民幹事長の岡田氏は12選を目指して続投する方針。元菰野町長の石原氏は2選に臨む。前回選挙は約14万4千票を獲得した岡田氏が小選挙区で当選。8万1000票の石原氏は比例復活で初当選を果たした。元四日市市議の伊藤氏は維新の看板を掲げて挑む。

岡田氏は幹事長を務める立場として、議席の維持が至上命令となる。対する石原氏は地元でのあいさつ回りや国政報告会に奔走。7月には自身がパーソナリティーを務めるラジオ番組に岸田首相を招いた。岡田氏の牙城で積み増しを図れるかが焦点となる。

■4区
青沼陽一郎55立新
鈴木 英敬49自現
中川 民英55共新

前知事で内閣府政務官の鈴木氏が2選を目指して出馬する見通し。これに対し、立民県連は19日の常任幹事会で、長野市出身のジャーナリスト、青沼氏を擁立することを決めた。共産の中川氏も前回選挙に続いて再挑戦し、与野党三つどもえの構図となる。

3期10年にわたって知事を務めた知名度から、鈴木氏の優位は確実。台風7号による被害の視察など、SNSを通じた発信に「敵ながらあっぱれ」と他党の幹部も認める。他方で県内との縁がほとんどなかった青沼氏は「まずは4区を歩きたい」と意気込む。