伊勢新聞

2023年8月12日(土)

▼最近「グローバルサウス」(GS)という言葉をよく聞く。ところが、それが何を指すのか知る人は少ない。「どこかの会社の名前?」「新しくできたレストランの名前?」という有様だ

▼インドやインドネシア、トルコ、南アフリカといった南半球に多いアジアやアフリカなどの新興国・途上国の総称だが、なんでいまさらこんな名前で呼ぶのか不明だ。ただし、GSの動向がいまの世界情勢の鍵を握っているのは確かだ

▼ウクライナ戦争で世界は白、黒、グレーの三つに分断された。ウクライナを支援する西側諸国(白)、ロシアとその同盟国及び支援国(黒)、ロシアを非難せず制裁に参加しない国々(グレー)だ。GSの多くはもちろんグレー。となれば、GSを取り込まない限り、西側はロシアを追い詰められない

▼日本は完全に西側。よって政府内の「経協インフラ戦略会議」はGSの支援を決めた

▼じつはGSは欧米先進国を嫌っている。「自由と人権、民主主義」の説教を垂れ、受け入れないと援助・支援をしてくれないからだ。はたして「グローバルノース」の日本は、GSを支援すべきなのだろうか?