▼雪印集団食中毒事件は平成12年6月、近畿中心に約1万5千人の患者を認定した戦後最大の集団食中毒事件。6月25日に和歌山県で初めて報告されたが夏風邪を疑い、行政の初動は大きく後れを取った―とネット百科事典ウィキペディア。発生地について、最初に突き止めた大阪府を筆頭に兵庫、和歌山、滋賀と続けるが、一番最初に発見した三重県の名はどこにも見当たらない
▼第2期北川県政の1年目。電子県庁化を唱え各自一台の端末が配置され、庁内連絡はメールへの切り替えが進んだ。患者発生の連絡が県保健所から本庁へ届いたのは和歌山より数日前だが、誰も端末を開かず放置され、気づいたのは世間が大騒ぎになってから。そのままほおかぶりを決め込んでしまった
▼津市の女児暴行死事件で県児童相談所が「AI(人工知能)の評価も参考にした」と釈明しても驚かない。何度目かの文書廃止のかけ声がうやむやになろうとしているし、高価なAI導入に財政担当副知事が反対した。ITを使いこなそうという認識は県庁の大勢ではない
▼また一つ、そんな体質を物語らないか。マイナンバーカードの専用サイト「マイナポータル」に73人の身体障害者の情報が5年間、正しく表示されていなかった。誰もアクセスしなかったので「実質的な被害はなかった」とし、指摘してきた1人を除く72人にはまたほおかぶりすることにしたらしい
▼「システムを改修した際は運用の状況をしっかり確認する」と障がい福祉課。責任は問わないということだろう。忘れたころに起き続けるゆえんである。