2023年8月1日(火)

▼見たくない下手な芝居を何度も見せられるようでげんなりする。児童数減少に伴う各地の小学校統合問題だ。今度は作・演出鈴鹿市である

▼3校統合して小中一貫校を目指すという計画について、10日の定例記者会見で末松則子市長が言った。「統合の話は令和2年度からあり、当時は『(2つ以上の学年を1つに編成した)複式学級は避けたい』という地域の声が多く、現在の計画になった」。1校は来年度から、もう1校が再来年から、複式学級の予定が組み込まれているのだから、地域の声の行方は言うだけ野暮だが、統合反対運動の代表者は言う。「令和3年に存続要望書を市教委に提出した。町内全世帯の約95%が署名した」

▼それから約2年。双方がそれぞれ自分たちに都合のいい解釈をしたまま放置し、8年4月の統合予定ぎりぎりになって計画(案)なるものを出してくる。10年度からさらに1校加わることも明記し、16日には早くも市議会全員協議会で具体的方向性について説明する段取りだが、末松市長は「無理に統合するつもりはない。方針は決定していない」

▼県教委、市教委、為政者が異口同音に語ってきた台詞である。が、統合以外の結論に達したケースは見たことがない。三文芝居と映るゆえんである。地域は小学校区を中心にまとまっていることが多い。地域作りや少子化の施策も取り入れ、1つぐらい統合以外のモデルを導き出してはどうか

▼末松市長は正直だ。「3校の統合についてはできるだけ地域の気持ちに添いたい」。地域の気持ちに添うのは「3校の統合について」である。