伊勢新聞

2023年7月25日(火)

▼俳優の広末涼子さんが所属事務所のホームページで離婚したと発表した。不倫報道がテレビや週刊誌をにぎわしていた。芸能人のその種報道にはほとんど関心がないが、彼女がベストマザー賞を受賞していたことを思い出した

▼母親の憧れや目標となる著名人が受賞対象という。広末さんの受賞は再婚して12年目の昨年5月。その一年後に不倫報道が始まった。彼女の演技力の定評とともに、奔放な発言や行動は昔から話題になっていた。母親のみならず、若い女性が憧れる母親像なのかもしれない

▼主催は違うが、前知事の鈴木英敬・現衆院議員がベスト・ファーザー賞を受賞したのは平成28年。こちらは母の日に対抗して父への感謝と父の日啓発の一環で始まったが、受賞で評価されたのは自身一男二女の父親として子育てに参画しているのに加え“イクメン知事”として少子化対策に取り組み、男性職員の育児休暇取得を奨励。県内の取得率を上げたとされることである。男性の意識や働き方を変えた功績といえようか

▼ベストマザー賞にはさまざまなエピソードがある。平成26人には主催者代表が妻を殴打して逮捕された。芸能人や政治家などの著名人が多くも受賞後不倫、不祥事も多い。離婚例もざらで、ベストマザーと良き母親は異なる―の意見も

▼ベスト・ファーザー賞が今後の父親像を示そうとしているのに対し、ベストマザー賞は、古い伝統に基づく良き女性、母親像を前提としているのかもしれない。広末さんの不倫報道や離婚騒動もそうした古い観念に根ざしていなければ幸い。