伊勢新聞

「まる見えリポート」県、女性ターゲットに就労呼び込み 若者の“三重離れ”進む

【県内への就労を呼び込もうと、昨年12月に開かれた県主催の「みえのインターシップ説明会」=四日市市の地場産業振興センターで】

企業の人材確保が厳しさを増している。有効求人倍率は1・31倍(三重労働局発表、5月現在)と雇用情勢は改善の動きで推移するが、職業別では6倍を超える業種もあるなど人出不足は深刻化している。県ではそんな状況を改善していこうと、本年度は特に女性をターゲットに県内への就労を呼び込む取り組みを進める。背景には、若者の県離れが進む中、とりわけ女性の県外への流出が著しい状況にある。県内への就労促進は待ったなしの状況だ。

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「セミナーや合説で、企業から労働力の確保が難しくなったという話をよく聞くようになった」と県雇用対策課。コロナ禍からの回復などで売り手市場が続く中、企業から悲鳴にも近い嘆きを聞くようになっているという。特に若手の人材確保が困難な状況とする。

県の令和4年の若年者の転出超過は3800人。大学進学などで、県外に出る割合は全体の8割にも上るとする。その転出者の中でも女性の占める割合は約6割とし、男性以上に県外への流出が顕著な傾向にある。

そんな若い女性の〝三重離れ”について、県が県内外の大学のキャリアセンターなどで聞き取ったところ、女性はおしゃれなオフィスといった職場環境の充実や、産休や育休の取得しやすさなどを求める傾向が強く、都市部の方が働きやすいとのイメージが持たれているという。

一方、県では子育てしながら働きやすい環境が整っているなど、多様な働き方を実施している企業を「みえの働き方改革推進企業」として登録や表彰している。そういった企業をさらに周知することで、県内への就労にあまり目を向けてこなかった層へもアピールし、雇用のミスマッチを解消していきたい考え。

特に本年度は流出が顕著な女性をターゲットにし、県内への就労を呼び込む。11月に東京と大阪で、初の女性を対象にしたUIターンのセミナーを実施し、実際にUIターンして県内企業で働く女性に講師を務めてもらい、県内企業の魅力を伝える。

県ではこういった取り組みを進め、「三重元気プラン」の中期計画目標で、県内外の高等教育機関を卒業した人のうち、県内に就職した人の割合を4年度の43・5%から8年度に50%まで引き上げることを目指す。また、人手不足解消に向け、多様な人材確保の一環として、外国人の受け入れや障害者、高齢者の雇用促進などにも取り組む。

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三重労働局によると、介護・医療、建設、警備、運輸、宿泊サービスといった業種が特に人出不足が顕著だという。5月の職業別の有効求人倍率では、警備関係で6・35倍、建設関係で約五倍、介護・医療サービスで3倍以上などいずれも平均に比べ、高水準となっている。

運輸や建設業界では、新たな規制強化による「2024年問題」も控え、人手不足がますます深刻化することが予想されている。三重労働局では「人出不足が顕著な産業を中心に、重点的に雇用のマッチングを図るなど、企業が人材確保できるよう支援したい」としている。