▼亀山市は再開発したJR亀山駅前の広場に銅像「日本武尊(やまとたけるのみこと) 弟橘媛(おとたちばなひめ) 愛うるはし」を建てた。行き先を指さす夫に妻が寄り添う姿。同市は弟橘姫の出身地で、日本武尊が亡くなった場所とされる
▼銅像は浦賀水道を渡ろうとする場面のようだ。乗っていた船が嵐に見舞われ沈没しかけるが、海神の怒りを鎮めるため妻が海へ身を投じ、夫を救う。「あれ御子にかはりて海の中に入らむ」(古事記)、「王の命にかへて海に入らむ」(日本書紀)。なかなか言えない言葉だ
▼人身御供は「魏志倭人伝」にもある。邪馬台国からの使者の船について、「いつも一人の男子に」「喪人のようにさせる」「災難にあえば、これを殺そうとする」と書いている
▼銅像は文化勲章受章者で名誉市民の中村晋也氏が制作し、市民有志でつくる実行委員会が同市に寄付した。亀山駅近くに忍山神社があり、弟橘姫はそこの神職の娘とされる
▼東隣の井田川駅前にある「日本武尊像」は草なぎの剣を手に野火が迫る窮地を切り抜けるところ。駅からは日本武尊の陵墓とされる宮内庁管理の王塚に近い
▼鉄道を利用して巡りたい。