2023年7月14日(金)

▼悪いのは優越的立場を振りかざして少年への性加害の限りを尽くしたジャニーズ事務所創設者で、所属タレントには罪はないとは思うものの、以前と何の変わりもなく、何の釈明を求めることもなく、毎日テレビに登場する彼らを見ると、テレビは個人と事務所の不祥事で、対応があまりに違い過ぎないかという気にはなる

▼児童虐待は加害者が保護者などに限定され、芸能事務所の幹部などは対象にならない。いわゆる処罰する法律がないので対象の拡大を求めて署名運動をしているというのもどこかピントの外れた気がしていたが、国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会が今月下旬から来月にかけて、被害者への聞き取り調査をし、政府や企業関係者らとも面談して、日本への勧告を含む報告書をまとめるという

▼性的少数者やジェンダー、障害者などの厳しい勧告が国連人権理から報告されたばかりだが、新たに加わることになる。世界経済フォーラムの今年の日本のジェンダーランクは、昨年をさらに下回って145カ国中125位。自認と世界の評価で、日本は大きく食い違う国である

▼少年への性加害では、カトリック神父らが世界を驚かせたが、日本の仏教界でも古くから存在し、稚児と呼ばれた。単なる性愛の対象ではなく、儀式を経て神仏の化身とされ、僧を悟りに導く役目で童子ともなる。僧の清浄は保たれるという

▼悲惨な末路をたどる稚児も多く、権力者の自己弁護説者もあるが、少数派というのが日本の文化・風習か。男子が性被害者に規定されたのは平成29年の法改正からである。