伊勢新聞

2023年7月9日(日)

▼三重県からの入院依頼を断ったのに当日の病床の確保料を請求した事例もあった、という。県医療保健部の「意図的な過大申請はなかった」の説明とどうつじつまが合うのか分からぬが、同部がご機嫌を取り結びたい気持ちは分からぬではない

▼新型コロナ患者用の病床確保のための補助金を県内の8病院が約2千万円分、過大受給していた問題。過大に受給していたかもしれないが過大に申請したわけではない、というとなぞなぞめくが、間違った指導を為たのは県で、その通りにしたらが、過大受給になっていたということではないか。迷惑をかけて申し訳ないと、県が謝らなければならない

▼県の釈明は心憎い。退院日を病床確保対象に含めるかは当時の書類で判別しにくく「審査する立場として過大請求を見抜けなかったことを重く受け止めている」。すなわち会計検査院から指摘されるまで、過大請求こそ正しい請求と思い込んでいたのだろう

▼よくある話ではある。消費税創設のころ申請にどう含めるか明確でなく、県に問い合わせて手続きしたら結果的に誤りで、補助金不正受給企業として報じられた。県に怒鳴り込んだケースもある

▼リーマンショックで景気低迷の時、雇用確保の補助金が創設された。偽装雇用が相次いだが、県関係団体の公益法人も目的外流用を摘発された。県の関係団体への助成金が縮小されていた時期で、苦しいという訴えに所管の県の部長が「雇用助成金をうまく使って―」

▼「財務内容はすべて県の指導を受けている。だめなら指摘してくれれば」と、公益法人担当者がぼやいていた。