2023年7月8日(土)

▼インフレが止まらない。物価上昇に賃金上昇が追いつかないから、国民生活は日ごとに悪化している。そんななか「インフレ税」という言葉を聞くようになった。たとえばインフレ率が3%なら、消費税が3%増税されたことと同じという理屈だ。つまり、私たちはインフレにより「見えない税金」を払っていることになる

▼それなのに、2022年度の国の税収が71兆円台になり、3年連続で過去最高を更新することが、景気が良くなったからという報道がある。大間違いだ。インフレによって物価が上がり、その分税収が増えたに過ぎない

▼インフレは、現金、資産の価値を目減りさせる。借金も目減りする。これで助かるのは借金1000兆円以上を抱える政府で、逆に国民は資産を政府に召し上げられるかたちになる

▼インフレ税からは、誰も逃れられない。所得増につれて税率も上昇する「累進性」などない。逆に、低所得層ほど負担がより重くなる「逆進性」がある

▼インフレ下では普通金利が上がる。しかし、日銀はその気が全くない。インフレ税は政府を助け国民をくじく。政府に国民を助ける気はないようだ。