2023年7月6日(木)

▼美術史家・ライターのフィオナ・リンゼイ・シェン氏の新刊「[図説]真珠の文化誌」(原書房)に、ヨハネス・フェルメールの有名な絵「真珠の耳飾りの少女」が載っている。左耳から大粒の真珠が下がる

▼「じつはそれはイヤリングではないことが判明している。イヤリングに見えたものには耳に留めるためのフックがなく、わたしたちが錯覚しているだけ」という

▼しかも「この真珠はあまりにも大きいので、実在したとしても、おそらく人工的に作られたビーズだろう」とのこと

▼絵は最初、「青いターバンの少女」と呼ばれていた。「モデルの正体は謎のままだが、彼女のターバンがヒントになる」「異国情緒漂う東洋、極東のどこか、つまり真珠の産地をイメージしている」

▼この絵を再現した観光ポスター「真珠の耳飾りの海女」を11年前、鳥羽市などが制作し、話題になった

▼モデルはミキモト真珠島がある同市出身の海女で、現在は松阪市ブランド大使を務める中川静香さん。耳飾りはもちろん真珠。イヤリングでもなく真珠でもない原画の意図が、図らずも、極東のポスターで実現した。