2023年7月4日(火)

▼知事や県議の昨年の所得・資産が公開された。知事が約1800万円で、県議平均が1200万円。多いか少ないか、比較してどうかを論評するのは身に余るが、一見勝之知事は「厳しさを身をもって確認するため」自主的に1割を減額。平均が前年比約14万円減の県議は、政治活動に使われる政務活動費の返還率も2年ぶりに上昇した

▼議長を務めた乙部一巳氏が「給料だけでまともな議員活動はできない」と給与明細を手に活動経費を説明してくれたことがある。多くの県議が給与以外の報酬を得ていることでも分かるが、身を切る改革が何よりも正論とされるご時世だ。報酬の低いことが議員のなり手不足の原因とする片山善博元総務相は、平均所得が減り、政活費の返還率が上がる現状を見たら何と言うか

▼懐がさびしくなると活力も墜ちてくるものに違いない。地方議会のもう一つの問題点、住民の議会離れについて、片山氏が指摘するのは、ピント外れの対策の羅列だ。議会基本条例をつくっても議会が変わるわけでなし、変わらぬ議会の報告会に人が集まるはずもない。何よりも議案審議に活気がなく、採否が事前に決まっていることが多い

▼教鞭を執っていた大学の学生に地方議会の傍聴を義務づけたが、「議会は死んでいる」「お経を聞いているようで眠くなる」など悪評ぷんぷんだった。少なくとも学生には見放された様相だった

▼先の県議選も3回連続で過去最低。知事は「残念」と語り、議会から主権者教育を問う声があがった。ともに危機感はあっても具体的にどう取り組むかの動きは出ていない。