▼平成24年10月、四日市児童相談所が経過観察対象にしていた生後十カ月の女児が母親に頭部を殴られて死亡し、その半年前の4月は、乳児院で一時保護されていた生後五カ月の男児が、一時帰宅中に炎天下のパチンコ店駐車場に放置されて死亡する事件があり、衝撃を与えた
▼検証委の報告書によると、四日市市の女児は名古屋市で、両親が飲み物の容器でたたき、グーで五、六回殴っていたなどの通報が愛知県警にあり、四日市南署を通じ児相に伝えられた
▼5月20日に同署員と相談員が初訪問し、しつけだなどとする親に対し、児相は月一回の経過観察を決めた。その後も泣き声などが通報されたが、児相が親に会えたのは9月7日の一回だけ。訪問者は複数と定めるマニュアルに反し一人だけで、親の対応ぶりや、家庭内の整理整頓、女児のあやしぶりなどから、三カ月に一回の訪問へ緩和した。直後に事件は起きた
▼グーで殴るなどの情報は、児相と市との連絡の中で消え、児相と市の連携不足が指摘され、市の地元情報の積極的共有が再発防止に必要とした。あざや家族の状況など、表面からは分からぬ実態があるとして、審査能力の向上を求めた
▼県は児相の組織を拡充。各九人を増加し、AIを導入。審査の判断力を向上させた。今年5月22日ごろ、津市の四歳児が母親からの暴行で死亡した。児相は過去一時保護していたが、母の求めで帰宅させていた。三カ月に一回の家庭訪問は守られていたか疑問
▼保育所から顔にあざがあるなどの通報を受けたが、軽微なことや母親の協力姿勢、女児の様子から虐待を認定しなかった。津市は通報内容のすべてを県に伝えず、また指導などは児相単独だった。一見勝之知事は、第三者委員会で児相の対応を検証するという
▼11年の時を経て、いつか来た道を歩み出す。