伊勢新聞

2023年6月21日(水)

▼G7広島サミットで上昇した内閣支持率がまた急降下した。共同通信社世論調査で前回5月から6・2ポイント下落して40・8%。全国紙の調査の中にはさらに下回るケースもあり、上がっては下がり、ジェットコースターだ

▼原因については、何を重点に調査したかによって各紙さまざまで、共同通信の場合は、マイナンバーを巡る相次ぐ混乱。首相長男による官邸での忘年会問題をあげるメディアもあった。長男ではなく、首相自身が権力をもてあそんだかのような解散あおり説は、時期が直前過ぎることもあってか、設問にはなっていなかったようだ

▼「首相自身の口から『解散する』との言葉は一度も出たことがなかった」というのは首相側近の一人とされる木原誠二官房副長官の18日のテレビ番組発言。「解散権は首相の専権事項だ。内心そのものは正直分からない」。もう少し早いタイミングでこの発言が出て、世論調査の設問に解散問題が取り上げられていたら、もっと支持率を落としたに違いない

▼うんざりするのは、不祥事もさることながら、それを巡る政府の対応だ。マイナカードのトラブルについては、当初「システムのミスはない」と言っていた河野太郎デジタル相がその後自らを処分し、ついに「あってはならないミス」などと言い出した

▼首相長男の官邸利用については、首相自身くつろいだ服装であいさつし、参加していた疑惑が消えない。権力の私的利用は、解散あおり問題でいよいよ色濃くなる

▼時、利あらず。だから解散をしなかったんだと、いまごろは先見の明を自負しているかもしれない。