中部電力の芦浜原子力発電所計画の立地候補地、旧南島町が反対派一色のころ、県の推進担当部長が「県が民間など以上に発揮できる能力と言ったら情報収集しかないじゃないですか」
▼地元の代表的産業である漁業の施策や問題点を洗い出して、漁業振興策に電源関連予算を使う道を探り、低落する漁業の経営者に経済面から浸透していった。RDF(ごみ固形燃料)発電所計画など、その後の施策には能力に陰り、怠慢も見られる。G7三重・伊勢志摩交通大臣会合で海外メディアの取材登録はなかった
▼「想定外。まさか誰も来ないとは」と、県の担当者は驚きを隠せない様子という。誘致決定に「海外へのアピールにつながる。非常にありがたい」と喜んでいたというから、落差に同情を禁じ得ないが、滑稽感も否めない。7年前の伊勢志摩サミットは国内外のメディア約5千人参加。同じ年の交通大臣会合(長野・軽井沢)は海外メディア2人。ゼロが「想定外」とまで言えるかどうか
▼メディアは情報の発生源に集まる。官庁や警察、大企業などに記者が常駐する仕組みには疎くても、伊勢志摩サミットで海外メディアを呼び込むため、前知事が奔走した前例は踏襲されていなかったとみえる。先の三重とこわか国体も、昭和50年の三重国体の手順書類が何も残っていないと県OBがあきれていた。情報軽視は裁判所以上か
▼同会合の記念バッジについて、山本教和県議が「あまり目立たない。ほとんど分からない」。一見勝之知事が「(作成する)事前に議員の意見を聞いておけばよかった」。やんぬるかな。