▼「歴史は繰り返す」はいろいろな哲学者が言っているようで、有名なのは、それに続けて「一度目は悲劇として、二度目は喜劇として」のカール・マルクスだが、古くは古代ローマの歴史家。人間の本質はいつの時代も変わらないから、過去に起こったことはその後の時代にも起こる。ぐらいの意味
▼とすれば、県政で同じ議論が繰り返されるのもむしろ当然か。人口減少対策方針の最終案で、合計特殊出生率などの数値目標を設けずに「モニタリング指標」として設定したことに対し、下野幸助県議が一般質問で「ちょっと弱い」
▼前県政時代は、大いに弱腰が非難された。女性の出産の自由を制約しかねないと、鈴木英敬前知事が数値目標の設定に消極的だったのに対し、県医師会理事らも、そんなあいまいな姿勢で、この危機的少子化に歯止めがかかると思っているのかなど手厳しい。結果、目標設定に応じたが、再び似たような議論が起こるべくして起こっているらしい
▼戦略企画に数値目標が設定されているのに、人口減少対策方針は指標のみ。指標を達成すれば転出超過が抑えられるのか、と下野議員。やや皮肉なニュアンスが感じられるのは、白黒がはっきりしてしまう数値目標の設定を回避したいから、どうとでも解釈できる指標にしたのではないかと推測されるからである
▼合計特殊出生率や転出超過などの指標はさまざまな主体が関係し「外的要因の影響を受けるため、モニタリング指標とした」。県の答弁は指標を説明しても、数値設定を回避した理由ではない
▼なるほど二度目は、喜劇に見えてくる。