▼先の県議選の投票率が過去最低だったことについて「残念な結果」と言ったのは一見勝之知事。「若い人に投票に行ってもらうため、どんなことが考えられるのか検討したい」
▼原因はそこにあるということだろう。若者の政治離れは全国的だが、県の場合、選挙権年齢が満18歳に引き下げられた効果がほとんど表れていない。あるいは表れているかいないかが分からない。数字の公表に消極的だからだ。「どんなことが考えられるのか」では真っ先に主権者教育が頭に浮かぶが、知事もそこには言及しない
▼議会など公式の場で主権者教育が議論になること自体、まれだ。教育問題ではほとんど専門家と言っていい津田健児県議が「学校教育で主権者教育を積極的にしていなかったことも(低投票率の)理由」と指摘したのに対して、福永和伸教育長は「社会科や公民の学習などで進めている」
▼新学期に教材が配布されたことは一度もなかったと県立高三年生が言っていたが、そうではない学校もあるらしい。教育問題は、とかく議会の批判を受けやすい。いつぞや進んだ性教育の副読本が図書室にあったとして「行き過ぎではないか」と追及された。県議会の高校生への出前講座で、当時渦中の定数問題に個人的見解を述べたと、議員が謝罪に追い込まれた
▼教職員は震え上がったに違いない。「新聞記事などを題材に」(福永教育長)できる環境かどうか。「政治的中立を確保しつつ、現実の事象を取り扱いながら充実を図る」(同)
▼充実の要、そのための難関は百も承知、200も合点ということだろう。