▼知事指揮の県執行部が議案を提案し、県議会が審議し決定する。議員提案は別にして、これが県政の事実上の基本である。少なくとも県職員は、議案提案権は自分らにあり、と自負してきた
▼県議会常任委員会で一見勝之知事の看板施策、人口減少対策方針について、策定が遅いではないかと問われ、後田和也政策企画部長は「今夏にも」と答えつつ「常任委でどのような意見を頂くかによる」。時期はむろん、策定内容まで議会と責任を分かち合おうとしているようでもある
▼そもそもは昨年度中に策定する予定だったが、国の子育て支援強化策を待つために先延ばししたという。各施策に対して国が示すメニューの中から県が選択して中身を決める、というのも県の予算策定の基本でもある。そのことに異議を唱えたのが平成7年誕生した北川正恭知事であることを覚えている職員はもういまい
▼地方分権の時代は、国からの予算獲得型ではなく、県への提案型で国の施策をリードしていくべきだという主張。その方針が国から注目され、国策として反映されたなどと胸を張る職員も少なくなかったが、今は跡形もなく、国の施策を先取りする前県政の遺産も今いずこ、となってしまったのかもしれない
▼国の子育て支援強化策が人口減少対策と重なる部分は多くてもイコールではない。「異次元」とは言っても第3子以後の児童手当拡充案など、想定する家庭像には何の変わりもないことを物語る。中絶対策や婚外子支援などに目を向ける。すなわち国の施策を後追いしても効果は限定的であることを認識すべきである。