2023年5月17日(水)

▼渡哲也のファンだったが、CMで勧める酒を含め、作品以外の情報を知りたいとは思わなかった。民放で見るのはサスペンスだけという“芸能界音痴”だから、いつぞや安倍晋三首相(当時)が記者会見で、国民的タレントだとしてSMAP解散を残念がったのには驚いたが、こちらの世間知らずだと理解した

▼そのSMAPが所属した芸能プロダクション、ジャニーズ事務所創業者(故人)の性加害問題騒動である。一連の報道にはSMAP解散を巡るタレントと事務所の、御多分にもれず醜い綱引きがあったことなども伝えられ、元首相がここでもひいきに軽率に乗っていたことがうかがえたりした

▼国産牛肉偽装など企業の不祥事が相次いだ時、どこの謝罪が一番好感を持てたかアンケートが実施されたことがあった。ロケ中にバイクが見学者に突っ込みけが人を出した石原プロがすぐに会見し、渡社長が陳謝した上で、作品の中止を発表したことが一番に評価されていた

▼夢を売る仕事でけが人を出したことの反省が語られたが、作品中止の予想外の厳しい決断に世間は納得したようでもある。ジャニーズ事務所は社長のコメントと動画の配信で陳謝した。創業者の性加害は「知らなかったでは通らないが、知らなかった」。誰もが首をかしげる謝罪であり、釈明ではないか

▼追い込まれ批判をかわすための謝罪だったという。逆効果にならぬか。また、日本のマスコミがほとんど無視してきたことが、改めて日本らしさを物語る

▼英国BBCの放送がきっかけという。米ハリウッドで始まったMETOOを思い出す。