▼三重県議会正副議長選で、議長に1票、副議長に4票の無効票が出た。大会派同士の調整がつかない時は半数近い無効票がでたこともあったが、1票と4票なら調整はほぼ成功したといっていいか
▼数票の無効票は毎回のことだが、誰が投票したか分からないないことが昔は多かった。会派幹部も首をひねり、自分が投票するときは隣席議員に見えるように、また、名前をつぶやきながら書いたりしたが、今回投票者が不明なのは議長選の1票だけか。副議長選の4票は、同ポストを新政みえに渡したことへの自民党への反発という
▼同党内の造反か、別の連携会派の不満かは知らぬが、投票先は自分がそのポストに就く距離の長短が決めてになることが多い。「議会運営なくて処遇あり」―国で言えば「国益なくて省益あり」か。無効票が自民党の議長候補ではなく、新政みえ候補に向けられたのは、浮気したパートナーより浮気相手を憎むようなもの、と言っては品が問われるか
▼むろん、自分たちの存在を示す狙いもあるのだろう。行動が議会の中に大きな波風を起こさず、波紋程度で治まっていくのも狙い通りかもしれない。今期の議会運営に不安定要素を残すが、それ自体は悪いことではない。中森博文新議長は「二元代表制の機能を発揮し、県民の福祉向上と県政発展に尽くす」と語った
▼その言やよし。役選でもなければ聞けなくなった「二元代表制」の言葉だが、忘れてはいないということだろう。問題は「発揮」が県民に分かりやすく共感を得られるかどうかだ。県議選への無関心層がこれ以上増えないためにも。