▼ふるさと納税での多額収入が特別交付税の減額理由になるかが争われた大阪府泉佐野市と国の訴訟で、二審・大阪高裁は「法律上の争訟に該当しない」と門前払いにし、市は逆転敗訴した。省令を改正して減額したことには踏み込まず、一審の「地方交付税法の委任の範囲を逸脱し違法」の判断は消え失せた。市は上告の方針
▼判決にモヤモヤ感が残るのは、自治体の返礼品競争が問題となり、国が金券などの自粛を求めたのに対し、泉佐野市は従わず、新制度に移行する際に国から閉め出されて訴訟となり、最高裁で市が逆転勝訴した。「社会通念上、節度を欠いたと評価されてもやむを得ない」と市の運用はされている
▼今回はいわば第二ラウンド。国の措置が、第一ラウンドと関係ないとは考えにくい。国に逆らったら交付税査定でいじわるされるというのが、県の伝統的な恐怖である。遺恨試合の様相。先の新制度加入争いについて最高裁は判断したのに、交付税争いは法廷での対象にあらず、と高裁はいう
▼国、地方、裁判所がいずれも国民そっちのけで自分中心の泥仕合を演じている趣。四日市市のふるさと納税をPRするプロデューサーが着任した。自治体間の税の取り合いとされるふるさと納税で、市は財源の市外流出に悲鳴をあげ、森智広市長は「広がる赤字幅を減らすのが使命」
▼その仕組みに批判的だった津市の前葉泰幸市長も専門サイトに委託し、効果を誇った。市の魅力をアピールするのはいいが、県外者に税の納付先を変えてもらうため、自治体が仕組みを競う。釈然としない思いはつきまとう。