2023年5月9日(火)

▼いつぞやボランティア活動をしているというグループが同活動を支援する団体に支援を求めた。公立小学校に寄付する図書を購入する代金を援助してほしいという。団体の委員を務める高校長が言った

▼「学校図書は学校予算で賄うのが原則だが、予算は十分でない。保護者からの寄付に頼るケースはなくはない」。実際は事務費や事務職員給与を含め、依存状態という話も聞くが、先のグループは、地域社会を巻き込んでいることもうかがわせた

▼共同通信によると、特別支援学校の中には法で義務付けられた図書施設がない学校もあり、充実ぶりとなると、教職員や保護者の熱意次第で、通常校とは格差がある。文部科学省は設置を前提にしていて実態は不明で「望ましくない。改善するよう促す」。知らぬふりをしていたのではないということだろう

▼障害者権利条約を日本が批准したのは平成22年。教育面ではこれを受けて盲学校など障害種別の学校を特別支援学校に統合し、教育現場を通常校、通級、特別支援学校、特別支援学級に分類した。学びたい学校を選べるインクルーシブ教育システムだと政府は言うが、国連の障害者権利委員会の理解は得られない。分離教育だとし、児童生徒が増加していることに対し、分断が拡大していると懸念している

▼障害者施策が日本は温情・人道主義、欧米は人権主義としてとらえることの違いであり、この違いは女性、外国人、子ども、LGBTの、さまざまな差別問題とも共通する。施設はともかく図書の充実までは国の関知することか、という思いはあるに違いない。