伊勢新聞

2023年5月2日(火)

▼三重県議選が終わり、県議会はいよいよ正副議長はじめ役員選任の場へ駒を進める。改選初の役選は、場合によっては4年間の流れを決めるから、選挙の余韻の消えやらぬ中で県議らは一段と熱が入ることになる

▼最大会派を維持したのが新政みえで、最大勢力となったのが自民系というからややこしいが、定数削減を巡る不協和音で自民系が割れたためにこの形がある。といっても両勢力は21人の同数で、自民に公認とは別の党籍所有者がいて最大勢力になった

▼昭和40年代にも、自民系が2つに分裂し、会派控え室をアコーディオンカーテンで仕切って対峙し、幹部が境界線で交渉した。議会運営が複雑になったが、今回も同じ。より妥協や譲歩の話し合いが必要になろう

▼今回はまた、都道府県議会の議長を束ねる全議会長のポストが回ってくるとの観測があり、匂いだけで消えたらしい。実現すれば平成23年以来になったはずという。12年前に県に全議会長ポストが回ってきたのは、議長任期がそれまでの申し合わせ任期1年から議員任期と同じ4年となり、半分に短縮されるなど曲折はあったが、とにかく1年を超えたからだ

▼全議会長たるもの、任期が1年では軽過ぎだろうと、それまでカヤの外に置かれていた。地方分権一括法の施行が平成11年。その12年後はまだ県に議会改革の先頭を走っているという余熱があったが、議長任期は事実上1年に戻った。匂いだけかがされ消えた重要ポストにあえてクレームをつけるだけの勢いももはやなく、コップの中の戦いに戻ったということかもしれない。