伊勢新聞

<まる見えリポート>三重県議長選、中森氏就任か 「全議」会長はならず

【県議会議事堂に並ぶ歴代議長の肖像=津市広明町で】

三重県議会は任期満了(4月29日)に伴う改選を終え、今月12日に予定される正副議長選に攻防の場を移す。改選前に続き最大勢力となった自民系、最大会派を維持した新政みえ共に議長ポスト獲得に向けた鼻息は荒いが、勢力図などを踏まえると、中森博文議員(自民党、6期、名張市選出)が就任する可能性が高い。他方で新議長は全国都道府県議会議長会(全議)の会長を務めるとの観測もあったが、先月下旬に事態が急展開。他県に譲らざるを得ない結果となり、議長選の攻防も「トーンダウンした」(議員)ようだ。

先月9日に投開票された県議選(定数48)では、自民公認候補の当選者と新政みえ系の当選者が21人で並んだ。ただ、自民は公認候補とは別に1人に党籍があるため、結果的には自民が最大勢力となった。

与野党で考慮しても、与党系が僅差で優勢となる。自民に国政で連立を組む公明の2人を加えた与党の勢力は24人。野党系は新政みえに共産党と草の根運動いがを加えても23人にとどまる。

この状況を踏まえると、議長選は自民が有利。自民党会派の議員は「期数などを考えて中森さん以外に議長候補はいないだろう」と力説。「(自民系少数会派の)草莽や公明党に賛同を呼びかけたい」と話す。

対する新政みえも稲垣昭義議員(新政みえ、6期、四日市市)を候補とし、3年ぶりの議長ポスト獲得を目指す。勢力では自民に劣るが、議長は最大会派からの選出という「慣例」(議員)を主張する方針。

ただ、今回も新政みえと自民党会派が正副議長選に向けて水面下で調整する可能性が高い。両会派が中森議員の議長就任で合意すれば、副議長は杉本熊野議員(新政みえ、五期、津市)が就任する見通しだ。

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今回の議長選は特に注目度が高かった。都道府県議会の議長を束ねる全議会長のポストが新議長に回ってくるとの観測が漂ったからだ。三重県議会議長が全議会長に就任すれば、平成23年以来のことだった。

議員からは、改選直後から「全議の会長は議長職に箔(はく)を付ける」などと期待の声が続出。「今回の議長選は全議会長の争奪戦でもある」などと、議長選に向けて議員らをヒートアップさせる話題の一つだった。

ところが、議員らの期待は崩れ去った。関係者によると、先月27日にオンラインで開かれた東海・北陸ブロックの正副議長らによる会議で、富山県議会が全議会長の就任に意欲を示したという。

三重県議会にとっては想定外の展開。この日の会議では、過去の会長就任の状況などを踏まえ、富山県議会議長が会長に就任することで内定した。三重県議会は代わりに副会長就任の内定を得たとされる。

この情報、既に一部の議員に伝わっている。ある議員は取材に「期待外れの結果。重みがなくなったな」と肩を落としつつ「議長が重要ポストであることに変わりはない」と議長選に向けて気を引き締めた。