2023年4月28日(金)

▼県が大阪・関西万博に出展するブースのテーマを「日本人のこころの原点~」から「日本のこころの原点~」へ修正した

▼先月の県議会常任委で「日本国籍を持っていない人が疎外された思いにならないか」と再考を求められた時は「マイノリティー(少数者)を排除する意図はない」「意見は受け止める」としつつ、スケジュールを踏まえ「再考の約束はできかねる」。木で鼻をくくったような答弁だったが、ひと月もたたぬ間に覆った

▼「違和感がある」と一見勝之知事に言われて知事の出席する10の会議の名称を変更したばかり。そうだ、知事が変わっていたんだと改めて気がついたのかもしれない。「日本人のこころの原点~」は、言うまでもなく伊勢志摩サミットなどで「日本人の心のふるさと」と喧伝(けんでん)した神宮からの借用。いかにも前知事が好むフレーズだった

▼安倍晋三首相(当時)の日本の「精神風土」「ふるさと」の思い入れから同地に決まったともされる。何の疑いもなく昨年11月の大阪・関西万博関連事業推進本部会議で公表し、議会でも報告したが、指摘されて初めて二重、三重にあったはずのハシゴが外れていることに気がついたか

▼普段は気にもとめないダイバーシティ(多様性)部門に相談したのは、むろん変更への手続きの一環だろう。先にサッカーW杯カタール大会で、各国選手が過酷労働など人権問題に抗議の姿勢を表す中で日本は不信の目で見られた。県も事なかれに徹する気になったか

▼「委員の指摘を踏まえ修正」。顔の立て方は相変わらず上手。万が一の矛先の回避策、かな。