▼統一地方選のとう尾を飾る市町長・同議員選挙のうち県内の津、鈴鹿両市長選は現職の圧勝で終わった。一見勝之知事の予測通り、といえようか。なにしろ、告示の16日、両市とも一騎打ちの火ぶたを切った中、知事はともに現職の出陣式にだけ出席したのだから
▼先見の明あり、である。万が一、対立候補が勝とうものなら「県と市町の連携」という出席の狙いが逆になっていた。ご同慶の至り。だが、両市長選とも投票率は過去最低、特に津市は3割台に落ちたことにも、いわゆる知事の“アナウンス効果”があったのではないか
▼慎重であるべきはずの知事が出席するくらいだ、現職安泰は動くまい、あえて投票所に出向かなくても―という「投票する方の判断」(知事)へ。他県にはない三重の感性かもしれない。実際、知事は何も考えずに出たわけではない
▼「出ることは迷惑かと聞いたら、ぜひとのことだった」からという。知事に「迷惑か」と聞かれて「はい」と答える陣営が県にあるとも思えないが、ともあれ「熟慮して出ることにした」。もっとも、津市の前葉泰幸市長は、低投票率を知事のせいにはしない。報道陣に問われ「政策の対立軸が見えにくかった」と答えたらしい
▼互いに似たようなことを言っていたため、有権者が迷って投票所へ行かなかったということか。前葉氏はこども・子育てや中心市街地活性化策などを訴えたが、誰もが言うことは同じだと割り切っていたか
▼対立軸以外を理由にしたら自治会問題で市政に幻滅した市民の多さが浮上しかねないと予防線を張ったのかもしれない。