▼「検察のストーリー」という言葉が喧伝(けんでん)されたのは、障害者郵便制度悪用事件で検察が文書改ざんをするなどして逮捕された厚生労働省雇用均等・児童家庭局長の村木厚子さんが無罪になったころがピークだった。いま「判事よお前もか」というニュースが駆け巡る。県と無縁でないのがはなはだ興味深い。一つは、大阪空港訴訟で元最高裁長官が小法廷裁判長に圧力をかけていたことが団藤重光元判事のノートで明らかになった
▼小法廷の判決直前に異例の大法廷回付となり、一連の流れを支えた最高裁長官の一人として鈴鹿市名誉市民の服部高顯がいた。先の圧力の場にも別の小法廷の裁判長として同席していた。最高裁の信頼を裏切る側にくみしている可能性は熟知していたのではないか
▼さて、元外国籍を理由にゴルフ場への入会を拒否されたとして、ゴルフ場を訴えた訴訟の津地裁四日市支部の判決である。私的団体だから、元外国籍であることを理由に入会を拒否することに違法性はない、という。過去の経歴などで現在の取り扱いが左右されてもいい。元ハンセン病患者の入浴を拒否したホテル側の対応は、多くの批判があったが実は正しかったことになる
▼日本人は同調圧力が強いムラ社会といわれる。前科者を排斥するのはその典型であり、障害者差別もそうだし、女性合格率を20%にするなどは見えにくいが、よく見かける差別の一つだろう。それを是とする裁判官もまた、多いことが判明したと言えないか
▼原告は、控訴するという。法の前に平等という憲法解釈もだが、裁判官の人権意識が問われる。