2023年4月20日(木)

▼統一地方選最終の町村長選、町村議員選が告示され「各地で無投票当選が相次いだ」と共同通信が伝えている。その流れか、2町長選が予定された県でも東員、朝日両町とも無投票だった

▼4期目を確実にした東員町の水谷俊郎町長は前回に続いて2回目。71歳。「70歳くらいが引き時というポリシーがあり、今期で辞めるつもりだった」。未達成の施策と、初当選した12年前に信任してくれた町民への責任との間で葛藤し「出馬を決めた」

▼隔世の感がある。同町は、県議だった水谷町長の父と、当時の実力者町長が激しく対立する政治的構図で、水谷町長が初出馬した時も、その余熱は強く残っていた。12年で敵対勢力を駆逐したか、融和策が成功したか。ともあれ、引退に迷っても対立候補の動きがないのは隔世の感

▼県職員から民間に転じ、再び県議として政治の舞台に戻ってきたのは「改革」を旗印にした北川正恭知事誕生の年だった。北川改革の一番の信奉者であり、推進者でもあった。政治への熱い思いから、北川知事引退後、各地方選挙に打って出もした。思えば、強いポリシーの命ずる思いからだったか

▼2回連続の無投票は、ポリシーへの共鳴者の広がり。それとも、全国的流れである政治への無関心層の拡大か。4期目の当選を決めて水谷町長は「当選はうれしいが、この先の4年間、きっちりと負託に応えられるかどうかというのが正直なところ」。ポリシーとの葛藤を物語っているようである

▼仮にそうだとすれば、4年間は地方政治の活性化や、後継者育成も課題になるのかもしれない。