▼「生活保護を一番受けづらいのは鈴鹿市らしいな」と知人に聞かれた。「訴訟沙汰になってるから一番などという誇張した話になったのではないか」と答えたが、各市の事例などをあげ、納得した様子はなかった
▼訴訟は、車の運転記録を提出しなかったことなどを理由に生活保護を停止した鈴鹿市に対し、障害のある受給者が撤回を訴えた。津地裁は処分の効力停止を決定。鈴鹿市は名古屋高裁に抗告している。その鈴鹿市で、市長選を前にまたも車にまつわる市民の不満が取りざたされている
▼市民の満足度を調べた市民アンケートの結果、「地域公共交通の利便性」が最も不満度が高く、「市外転出」を考えている市民も6・2%いた。市のコミュニティバスの拡充を求める声や「車がないと移動できないところが多すぎる」の意見があった
▼市は「地域の実情に応じて新たな移動手段」の方向性を議会に示したが、地域特定した実証実験の結果「対象者が限定され、公共交通事業にはあてはまらない」とし、高齢者施策と位置づけるという。元のもくあみ、である
▼鈴鹿市が「モータースポーツ都市宣言」をしたのは平成16年。15周年の4年前は初めて公道パレードを実現。真っ赤なレーシングスーツに身を包んだ末松則子市長は、モータスポーツの聖地らしいイベントに意欲を示した
▼サーキット創設者本田宗一郎はモータスポーツを通じて、日本の車の性能の向上を意図した。モータースポーツ都市宣言も、車社会の未来像。車に関することなら生活保護にしろ、地域交通にしろ、全国最先端を目指したい。