伊勢新聞

2023年4月8日(土)

▼重税の代名詞「五公五民」が流行語になった。発表された国民負担率が47・5%だったからだ。江戸時代中期、年貢米率が「四公六民」から「五公五民」に引き上げられた後は百姓一揆が続発した

▼なのに、欧州諸国に比べたら重税国家ではないという。英46・5%、仏67・1%、ノルウェー54・0%、フィンランド61・5%などと比較される。しかし、欧州諸国は負担率の高さに見合った福祉、住民サービスがある。日本にはそれがない

▼さらに、この負担率にはカラクリがある。一つは、諸外国がGDP比で算出しているのに、日本は間接税を除いた国民所得比で算出していること。付加価値税(消費税)などの間接税が高い欧州諸国は当然日本より高くなる。もう一つは、国の財政赤字(国債)を省いていること。国債は将来の税金で償還されるので、これを加える必要がある

▼財政赤字を加えて算出したものを「潜在的国民負担率」と言い、これは61・1%になる。「六公四民」である。江戸時代より酷い

▼中国の諺に「苛政は虎よりも猛なり」がある。重税を課す過酷な政治は人を食う虎よりも恐ろしいということだ。