伊勢新聞

2023年4月7日(金)

▼職員が相次いで逮捕された松阪地区広域消防組合で、管理者の竹上真人松阪市長が「このままやっていくのは難しい」と、同組合全職員296人の聞き取り調査をすることにした。組織の浄化を目指すという

▼市議会で3選出馬を表明した2月15日の前日に消防職員が詐欺事件で逮捕され、3月6日に別の詐欺容疑で再逮捕となった。昨年8月には住居侵入と強盗の疑いで逮捕された別の消防職員がいて、同10月には消防署仮眠室で性交した男女職員が処分を受け、話題になっている。何かしなければという思いにかられたのかもしれない

▼松阪市が、不祥事のデパートと取りざたされたのは野呂昭彦元知事の市長時代。処分し、綱紀粛正を誓ってすぐ、また別の不祥事が発生し、繰り返されていく。開いた口がふさがるヒマがなかったが、〝伝統〟いまだ健在

▼昨年11月は会計年度任用職員が窃盗事件を起こし懲戒処分となり、同12月には健康福祉部幼稚園教諭が人身事故で減給処分。今年1月は入院患者の現金を盗んだとして松阪市民病院職員が起訴され懲戒免職。味方をするわけではないが、消防職員だけがなぜ、という気にはなる

▼違う市での話だが、近くの県立高の教頭が、市への就職活動を巡り、こう言っていた。「うちなどから採用されるのはなかなか。せめて消防職員でも、と運動部員を受験させるが、それも一人通るかどうか」。消防職員は下に見られているか

▼とすれば閉鎖社会特有の問題があるのかもしれない。仮眠室男女の場合、男性が減給3カ月で、女性が2カ月。これも、何か理由が―。