伊勢新聞

2023年4月3日(月)

▼三重県では統一地方選の口火となる県議選が告示された。激戦区と本紙が紹介した二選挙区の一つ、津市でそう沸き立つ戦いが繰り広げられているように見えない。知事選とのダブル選から離れて初めての単独選挙。真価が問われる

▼「予想通りの厳しい戦い」と候補者は第一声の中で支持者らに訴えた。「厳しい戦い」が必ずしも有権者が注目する戦いではないのが最近の傾向。合区などで選挙区数は減ったのに、無投票が前回より二つ多い七選挙区であることがそのことを物語ってもいる

▼県議立候補が県民の福祉、県振興を願う人々にとって必ずしも魅力のある手段ではなくなってきているか。選挙区や定数減で、志ある人に二の足を踏ませるか。候補者と有権者の意識が離れ気味ということもあろう

▼長く離れていた知事選を統一地方選日程に合わせたのは田川亮三元知事である。共産党を除く全党相乗り知事となって投票率はどんどん下がり、20%台となって、信任票との見方はあっても県民に選択肢を与えていないという批判は各党はむろん、為政者も無縁ではなかった。引退表明後の引退時期の決定で、県議選とのダブル選を選択したのである

▼皮肉なことに、そのころから県議選の投票率も下がり始めた。50%を割り、40%台の下方へ進んでいく。知事選との28年ぶりの分離で、県議会へ有権者の生の評価が下されることになると言えなくもない

▼県議会は次々に議会改革を実施し、全国的にもその先進県として注目された。その後どう継続して、位置づけられてきたか。具体的には、その成果が問われよう。