伊勢新聞

大観小観 2023年4月2日(日)

▼首相が明言した「異次元の少子化対策」が迷走する中、子ども家庭庁が4月1日に発足した。目指すのは「子どもまんなか社会」と言うが、その社会像は明確ではない

▼「子どもを産んだら奨学金減免」「育休の給付率の手取りを10割に引き上げる」「子育て中の低所得世帯には子ども一人につき5万円給付」「こどもファスト・トラックを設ける」など、これまで出ている案は全てバラマキ政策。つまり明確なのはおカネだけだ

▼少子化と言うが子どもを産む女性自身が減っている。つまり「少母化」だから、いくらバラまいても少子化は止まらない。出生数80万人割れの世代がやがて母になることを想像すればわかる。バラマキで仮に出生率が上がっても出生数は減り続ける

▼さらにバラマキは現役子育て家庭に偏っている。子育て以前に、結婚・出産を控える若い人たちの経済的基盤を安定させる雇用対策の方を優先すべきだ

▼子ども家庭庁の今年度予算は4・8兆円。結局、この一部をバラまく新役所ができたに過ぎない。「低次元の少子化対策」をする「子どもだまし庁」ではないのか