伊勢新聞

2023年3月10日(金)

▼岸田文雄首相の年初の神宮参拝直前に爆竹が破裂した事件で、県警は8日の県議会常任委で犯行について「相当数の人員で捜査している」。特定はまだということだろう

▼現場に爆竹が破裂した形跡とリード線のようなものが見つかっている。遠隔操作の可能性があり、目的などは「犯人を特定していないので分からない」。詳細を公表しないのは犯人しか知り得ない事実を自白させる「秘密の暴露」のためというが、爆竹で危害を加えられるはずもない。皆目見当がついていないのかもしれない

▼安倍晋三元首相が銃撃されたのは半年前。要人警護の刷新や単独犯への対策などが教訓として打ち出されていた。爆竹事件はそんな対策効果を試すいい機会でもあった気がするがいかがだったか。G7三重・伊勢志摩交通相会合が百日前に迫った。「警衛や警護に反映する反省や教訓が多々あった」。そう願いたい

▼国会議員が登院せず、迷惑行為で告訴されたり、逆に秘密の公表を示唆する時代だ。飲食店などでの迷惑動画がSNSやネットニュースで拡散され、回転すしで迷惑行為をした若者三人が業務妨害で逮捕された

▼思いもしない犯罪が横行するが、人気テレビドラマ『相棒』で岸部一徳ふんする小野田公顕官房長が回転すしで何度注意されても食後の皿をコンベアに戻すボケぶりを演じたのは13年前。おもしろければいいという若者世代に受け入れられているのかもしれない

▼県内でも和菓子などへ針金など異物挿入の事例は多い。実害はともかく、予告し脅す例も。「信頼」名目で対策に手を抜く時代は去った。