▼「一見県政は有識者会議が大好き」と、三重県議会予算決算常任委員会で三谷哲央県議。言い方によっては挑発的だが、一見勝之知事が「(有識者会議は)あまり好きではない」と応じたのはまんまと乗せられた構図かもしれない
▼議場は笑いや驚きの声で沸いたというが、県でも「何でうちの審議会はこう面倒なんだ」とぼやく部長がいた。他の部所管の審議会は意見も少なくシャンシャンなのに、人権関係だったせいか議論百出。事務局提案に批判や注文がつくことがほとんどで、そのつど仕切り直しをさせられると言っていた
▼原発関連など国の審議会、委員会のメンバーから報告を聞く機会もあったが「真剣勝負」「存在をかけて発言している」という人は多かった。事務局の苦労は察しられた。「時間がかかるので、スピード感という意味では良いことではない」というのが一見知事の評価だが、もともと物事をうやむやにするために設けられているとみられていた
▼政策決定の切り札に使い始めたのは中曽根内閣である。臨調などに国民判断というの権威を持たせ、改革を押し切っていった。三谷県議の「有識者と議会の意見が異なったとき、どう判断するのか」という質問は、そのころの論争を踏まえ「もちろん県議会」と言わせるための狙いか。先の審議会で、議会権限の予算に踏み込んだとして決定を白紙に戻されたことがある
▼「議会がこれほど重みがあると思ってなかった」というのは県議経験者である北川正恭氏の知事就任初期の感想。「一見県政は県議会が大好き」と切り出したら知事はどう答えたか。