伊勢新聞

2023年3月4日(土)

▼「失敗」か「中止」かで論争が起こった次世代ロケットH3。どちらにせよ「飛ばなかった」のは確か。JAXAは再度トライするという

▼「飛ばなかった」で想起するのは国産初のジェット旅客機「三菱スペースジェット」。こちらは先日、事業断念が発表され、「飛ばない」ことが確定したので完全な「失敗」だ

▼じつはH3は発射前から不安視されていた。計画より2年も遅れたこともあるが、事業主体が三菱重工だからだ。飛行機ですら飛ばせないのに次世代ロケットが飛ばせるのかと、技術力の劣化に疑問を持つ専門家は多かった。しかも、世界はスペースX社の「ファルコン」に代表される再利用可能ロケットの時代なのにH3は使い捨てである

▼三菱重工と言えば、「ものづくり国家ニッポン」の代表企業。戦前は日本人の誇り「零戦」をつくった。ところがいまや、ロケット、飛行機以前に客船建造にも失敗している

▼防衛費増額が決まり「敵基地攻撃」のために射程200キロ弱の「12式地対艦誘導弾」を中距離ミサイルにすることになったが、これも三菱重工。果たして敵基地まで飛ぶのだろうか?