2022年2月25日(土)

▼トヨタ、ホンダ満額回答―。今年の春闘は「大幅賃上げ相次ぐ」と景気がいいが、東京都と神奈川県に店舗を持つ城南信用金庫が中小企業738社を調査した結果は72・8%が「賃上げの予定はない」。仕入れコスト増に収益悪化で、先行き不透明感から余力はないという

▼政府が意図する賃上げは大企業にとどまり、中小企業への浸透は疑問ということか。ホンダの地元ともいえる鈴鹿市の鈴鹿商工会議所中小企業相談所も、昨年下期(7―12月)の景気動向調査は現状の景気を示すDI値の五期連続改善を記録したが、今後の景気見通しは悪化、同所は「地域経済の業況は悪化する」と見通している

▼鈴鹿商議所が加盟する県商議所連合会は設備投資の上昇をあげるなど五期連続改善の景況感を発表したが、今後の見通しには触れず、経営上の問題点として「売上・受注の停滞減少」「原材料高と不足」を指摘。専務理事は記者会見で「景況感は改善しているが、コロナ禍以前の水準には戻っていない。売り上げの停滞や減少の解消に向け事業者を支援したい」

▼城南信金調査は、コスト増加分の価格転嫁が「ほとんどできていない」が26・0%。連合三重も先の春闘方針で「中小企業は物価の上昇分を製品などの価格に転嫁できていない」とし「適正な価格で取引ができる仕組みを経済団体や行政などに要請したい」

▼春闘が賃上げ要求一辺倒でよかった時代は過ぎ去ったと言えようか。「官製春闘」などと言われて久しいが、笛吹けど踊らず。指導者の方針に、大衆が賛同せず、行動しないことのたとえである。