▼18日の新型コロナ感染者は368人。ひと頃なら胸を圧迫されるほどの数字だが、今はひと山越したかの気分にさせられる。人間の感覚は当てにならない
▼国もマスク着用などコロナ対策を緩和する方向だが、自粛要請が機能したのは、感染者らに対する私的バッシングが背景だと桑名医師会長の西村英也さんが県医師会機関誌に「新たな感染症があぶりだしたもの」と題して書いていた
▼〝マスク警察〟などは全国いたるところで起きたが、県でも県外ナンバーの車を傷つけるなどがあり、県は偏見・差別の実態調査などを踏まえて「差別、偏見、いじめは許されない」のメッセージを発信している
▼西村さんは「スティグマ(精神疾患など個人の持つ特徴に対して、周囲から否定的な意味づけをされ、不当な扱いことをうけること)と群集心理」がその原因で、感染者を殺すなどの暴言や県でも家に石を投げ込むなどの攻撃があった。教養、分別にかかわらず群衆の一員となり特定の刺激を受けると、群集心理に従って行動するという
▼分析してみると、それらは義憤がもとであり、正義を行使しているという思い込みの高揚感であったりして、罰則のないルールがそうした行動をさらにあおり、自粛要請を法規制以上に厳格にしていった。感染者とどう接するかが今後の課題という
▼国の検討の一つに、新型コロナの名称を「コロナウイルス感染症2019」へ変更する案があるという。狂牛病をBSE、豚コレラを豚熱とするたぐいか。加えて、過去のものとする意図も透けてみえる。次への備えが心もとない。